
「私という現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です」
これは、宮沢賢治の『春と修羅』の序文にある言葉だが、
私は最近、ファインダーを覗き込みながらこの一節をよく思い出す。
自分という存在は、
白か黒かといった確固たるひとつの実体としてそこにあるのではなく、
世界という巨大な流れの中で、周囲と交差しながらチカチカと明滅している
「現象(光)」のようなものではないか。
カメラを持って街を歩き、時間の地層を感じる路地裏や、
光と影が織りなす曖昧な「中間色」の景色を切り取っていると、
その不確かさこそが美しさなのだと気づく。
写真集『Trajection』は、そんな明滅する私という「青い照明」が、
日常の風景と交わり、反射した瞬間の記録。
完璧ではない不確かな私が、
レンズを通して世界に何を投影(Trajection)したのか。
そしてそれが、ページをめくる方の心にどんな光として映るのか。
限定的に一部の場所で献本&公開がなされる予定です。
機会があれば公募展の際などに持ち込めればと考えてます。

